平成31年第1回定例市会2月議会-藤原武光議員・討論

2019年02月19日更新

平成31年2月18日の本会議において、藤原武光議員(垂水区)が討論を行いました。

『議員提出第38号議案 神戸市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例の件』及び修正案に反対

<討論内容>
議員提出第38号議案及び修正案について、委員長報告に反対し討論します。

本議案及び修正案は、給与から組合費の天引き、いわゆるチェック・オフを神戸市職員労働組合だけを廃止しようとするものです。

そもそもチェック・オフは、直接的には労働組合と使用者の取り決めに基づいてなされる一種の便宜供与ですが、労働組合の運営にとって極めて重要な意義を有し、団結権に基礎を置く制度であり、日本において長年に渡り労使慣行として定着し社会通念化しているだけでなく、国際的にも広く普及している制度です。

そして労使間で一旦チェック・オフが行われている場合には、これを前提に労働組合の活動・運営が行われており、その廃止は労働組合の活動・運営や労使関係に影響を与えることから、廃止する場合については労働組合に対してチェック・オフ廃止による不利益を与えてもなお廃止せざるを得ないという合理的な理由が必要であります。また、廃止にあたっては、労働組合に対して理由を説明し、前後措置等について協議し、十分な猶予期間を設けるなどの手続的配慮がなされるべきです。

このような要件を欠くチェック・オフの廃止案は、廃止の目的、動機、その時期や状況、廃止が労働組合の運営や活動に及ぼし得る不利益、影響等の諸要素を総合的に考慮した上で、労働組合の弱体化、運営・活動に対する妨害の効果を持つものと言える場合には、支配介入にあたると言えます。

との反対の見解を以前にも述べたところです。

あらためて見ると、議員提出第38号議案及び修正案の「チェック・オフ」の廃止理由は、『職員団体への加入については、職員個人の自由意思が担保された状態で、職員が自由に判断するべきものである。市職労に関しては、委員長による、研修と一体化した組合勧誘活動によって、職員の自由意思に基づく加入が阻害されている可能性が高く、「チェック・オフ」についても職員の意思に反して行われている場合があることを否定できない。この状態は、神戸市職員の給与に関する条例によって市職労の組合費に対するチェック・オフが行われている限り改善できない』などとして、『市職労の組合費に対するチェック・オフを廃止するに当たり、条例を改正する必要があるため。』とされています。

また修正案は、『本条例案は平成31年4月1日施行の日としているが、判例等に倣い、チェック・オフ廃止のための諸般の準備や調整が必要であることを考えると、一定の猶予期間が必要である。以上のことから、本条例案を修正し施行日を「平成31年4月1日」を「平成32年4月1日」に改める。』とされています。

もう一度整理しますと、チェック・オフ廃止の理由の主な点は『職員団体への加入とチェック・オフについて、職員の自由意思に基づいてなされていない。また、このようなことは、チェック・オフがある限り改善できない』と断定して、チェック・オフの廃止条例案が出されていることです。

このことを受けて、職員団体は改めてチェック・オフの確認と職員団体への加入継続・脱退を自由意思に基づくアンケートを昨年の12月から本年1月末まで実施されました。結果は、12日時点で『残留して天引きに同意するが約5千人超』『脱退希望は約1200人』『未回答が約900人』となっています。

我が会派は、これまでも「ヤミ専従問題」と「チェック・オフ廃止問題」は全く別次元の問題と主張してきました。

既に先の本会議で見解を述べた通り、「ヤミ専従問題」は労使双方が長年にわたり、違法性を認識しながら、その運用を改めることなく慣行化されて来たものです。また阪神・淡路大震災による厳しい行財政改革の実現に伴う職員削減に取り組んできたとはいえ、労使双方に馴れ合いの間は否めず、猛省を求めるとともに、二度とこのようなことを起こさない決意を労使双方に促し、再発防止方針を確立し、健全な労使関係の再構築を早急に求めているところです。

もう一度申し上げます。第三者委員会の最終報告が出され、ヤミ専従問題にかかわった労使双方と退職者も含め大量の処分と給与の不適支給の返還請求が行われるなど、一定の整理が図られようとする時期に来ました。

そのうえで本議案と修正議案については『勤労者の団結権を保障したILO87条約第3条』、『結社の自由と団結権を保障した憲法28条』、さらには『地方公務員法25条第2項』の趣旨に反するものであり、議会が長年の労使の確認ルールに介入することは、議会の支配介入であり、不当な扱いと断ぜざるを得ません。

以上のことから、議員提出第38号議案及び修正議案に対して反対の意思を表明し討論とします。

付け加えて、第三者委員会のF弁護士がラジオ番組で、このヤミ専従問題が労働組合潰しに傾いていることに懸念を示されたことについては、まったくの同感を覚えたところです。

議員各位におかれてはご理解を賜りご賛同を頂けますように切に要請し、こうべ市民連合議員団を代表しての反対討論とします。

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※〈討論とは〉
本会議において、採決の前に議題となっている案件に対し、賛成か反対かの意見を表明することをいいます。 討論の目的は、 単に賛否の意見を明らかにするだけでなく、まだ賛否を決定していない議員及び意見の異なる議員を自己の意見に賛同させることにあります。
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